2003.8.3
最後の晩餐。

人生の最後に何を食べたいか。

その問いかけは今まで幾度となく
世界中の人が話し合ってきたことなんだろうね。

フレンチシェフの三國清三さんが「最後の晩餐」について質問されて

「僕の実家は農家で貧乏だった
親父が作る米とオフクロが育てた鶏のタマゴでタマゴかけ御飯。
これをね、ザァーっと一気にかきこむ。これが最高だね。」

と答えていた。
フレンチの鉄人が最後に食べたいものが
タマゴかけ御飯だというのも意外だなぁ。

僕の実家は大阪でおべんとう屋さんをしています。
実家が食べ物の商売をやっているところならどこでもそうだと思うけれど
売れ残った食材が晩御飯になることがよくあった。
僕が一番好きな実家のメニューは
なんと言ってもからあげ弁当だね
今まで色んなからあげを食べてきたけれど
実家のからあげを越えるからあげに
まだ出会ってないんだ。

僕が「最後の晩餐」をたずねられたら
間違いなく実家のからあげ弁当を食べて死にたいと答える。

三國さんにしても僕にしても
「親に作ってもらった一番うまいもの」
を最後に食べたいと思っているんだ。
人の味覚ってのは
その人の人生によってばらばらで
ひとつとして同じモノなんか無いんじゃないかな。
行列の出来る店の味は
誰もがうまいと思うんだろうけれど
最後に食べたいと思わせるのは相当大変なことだろうね。

味覚だけを考えてみても
人生の数だけの多様性がある。
「もっと個性を伸ばせ」的なことが叫ばれる御時世ではあるけれど
生まれてきて生きているだけで
自然に個性や多様性は備わっているんだから
そうやかましく言う方がかえって不自然に思えてしまうねぇ。

僕の学生時代の友人は
車の排気ガスのにおいを嗅ぐと落ち着くと言う。
これだけ聞いてると変人のようだけど
彼の実家は車の整備工場なんだ。納得でしょ?
僕も街を歩いていて
食材や油や御飯の炊けたにおいの混ざった
あの厨房独特のにおいがしていると
妙に落ち着いてしまうんだよ。

誰にでも生活の中で自然と備わる
自分だけのここちよさってものがあるんだねぇ。
だからいつまでも
「最後の晩餐」についての問いかけは
終わることなく続いていくんだろうね。

1529.net shinji
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